お子様の目の症状

近視

近視とは?

 近視とは、近くにピントが合ってしまい遠くが見づらくなるという状態です。「眼鏡をかければ問題ないでしょ?」と思っていらっしゃる方が多いですが、実はそうではありません。近視が進むと、それが引き金となり様々な病気が発症する可能性があります。日本人の約3人に1人は近視と言われています。特に最近では小学生など低年齢で近視になるお子様が急増しています。適切なタイミングで予防を行うことが大切です。

近視の原因

 近視には遺伝、スマートフォンやパソコンの使用、読書、光など種々多様な原因があるといわれています。近視になる理由としては、最近では以下のような説が有力です。

調節ラグ

 目の中のレンズは厚みを変えることでピントを合わせています。近くを見る時には、「ぼやけて見える」という刺激が「レンズを厚くする」という指令を出してピントを合わせます。しかし、見るものが近過ぎるとピントが十分に合わないために、今度は「眼球そのものを長く伸ばす」という指令を出します。この指令が長く続くと、やがて眼球自体が伸びて変形してしまい、今度は遠くが見えなくなる、これが近視です。このピントが十分に合わないことを「調節ラグ」と呼び、昔から「近くのものを見続けると近視になる」といわれているのはそのためだと考えられています。

軸外収差

 人間の目は中心部がよく見える仕組みになっています。その中心軸より外れた部分はどうしてもぼやけて見えるので、そのぼやけを解消するために眼球そのものを後ろに伸ばしてピントを合わせます。一般的な眼鏡やコンタクトレンズによる視力調整をする際、このようなピントあわせが起きていますが、眼球を伸ばすことに慣れてしまうとやがて変形し、近視も進んでいきます。

近視の種類

1. 屈折性近視

 目は全体で1つの凸レンズとしての働きをしますが、光を集める力が強すぎると、ピントが網膜よりも前に合ってしまいます。

2. 軸性近視

 ほとんどの近視はこのタイプになります。目が長細く変形してしまい、ピントが網膜より前に合ってしまう状態です。

近視にならないための秘訣

 近視の最大の原因は、近くのものを見続けることです。また、一般的に成長期は近視が進みやすいといわれています。部屋の中で読書やゲームをすることは控えて、なるべく屋外で過ごす時間を増やし、遠くを見るように心がけてください。近視予防には、友達と外で元気に遊ぶことが最も効果的です。

近視が引き起こす他の症状

 近視が進行すると、遠くが見づらい点以外にも多くの病気を引き起こすことが知られています。最も多いのは網膜剥離であり、その外には白内障や緑内障、黄斑変性や視神経の病気など、様々な弊害を起こすことが考えられます。そのような病気を防ぐためにも、近視を予防することが大切です。

近視の治療法

 残念ながら、近視を根本的に治療する方法は現在のところ見つかっていません。しかし、少しでも近視にならないように予防することは可能です。当クリニックでは以下の予防治療を行っています。

低濃度アトロピン点眼

 近視の進行を遅らせる点眼薬を用いた治療法です。この方法で一般のお子様と比較して近視の進行を半分以下に抑えられたというデータもあり、現在受けられる治療の中では最も高い予防効果が期待できます。1日1回寝る前に両目に点眼するだけなので手軽に取り組め、副作用もほとんどないといわれています。新しい治療法ですので、岐阜市内でこの治療に対応しているクリニックはまだ少ないのが現状です。

ワック

 近視予防には遠くを見ることが効果的ですが、時間がなくて難しい方のために、遠くを見る疑似体験ができる装置「ワック」を導入しています。機械の中の美しい立体像を見ていただき、その立体像をはっきり見せたり、ぼやけて見せたりすることで、目の調節力(ピント合わせの力)をリセットするというものです。短時間で遠くを長時間見た状態の目に戻すので、大人の方の眼精疲労にも効果的です。当クリニックでは他の治療や検査とあわせてワックを無料で受けることができます。

遠視

遠視とは?

 遠視は、遠くにも近くにもピントが合わず、視界がすべてぼやけてしまう状態です。人間は元々幼少期は遠視ですが、本来は身体の成長と共に目も成長して次第に遠視が治っていきます。しかし、中には治らずに遠視が残ってしまう場合があります。
遠視の治療は眼鏡をかけることですが、8歳以下で開始しなければ効果がほとんど無いといわれています。治療開始は早ければ早いほど良い結果が出せるので、小学校に上がる前、5~6歳の頃までに眼科を受診することが大切です。子供の検診は、実際にはうまく検査が行えていない場合もあるため、検診で問題がなかったお子様も、小学校入学までに一度は眼科を受診し、視能訓練士による検査を受けることをお勧めします。

遠視が引き起こす他の症状

 遠視は、視線が内側に向いてしまう内斜視や、眼鏡をかけても十分な視力が得られない弱視などの病気を引き起こす場合があります。幼少期に遠視を放置すると弱視を発症することがあり、弱視のまま大人になってしまうと残念ながら治癒は見込めません。そのため、遠視は治療を行うタイミングがとても重要になる疾患です。

遠視の治療法

 遠視の場合は弱視にならないように眼鏡で矯正することが治療の基本になります。弱視を予防するためには治療開始のタイミングを逃さないことが最も重要です。気になることがある方は早めの受診をおすすめします。

弱視

弱視とは?

 生まれてすぐの赤ちゃんはまだ目がよく見えておらず、生後1か月でようやく目の前の動きが分かる程度になります。ものを見ることによって視力は徐々に発達していき、4歳前後でほぼ大人と同等の視力1.0に達し、その後6~9歳くらいまで視力の発達が続きます。視力が発達するこの時期に、遠視などによりはっきりものを見ることができず目を使わない状態が続いた場合には、視力の発達が不十分となり、眼鏡で矯正しても視力の出ない状態になってしまいます。これを弱視といいます。

弱視の原因

弱視になる理由はさまざまであり、原因によって次のように分類されます。

視性刺激遮断性弱視・廃用性弱視

 先天性白内障や眼瞼下垂などの病気や眼帯の使用などにより、眼底および脳に十部な光や映像が届かず、使われなかった方の目が発達しなかったことによって起こる弱視。

屈折異常弱視

 両目に強い屈折異常(遠視、近視、乱視)があるにもかかわらず、眼鏡等を使わず矯正されないままでいたために、はっきり見えない状態が続き、両目ともに発達が不十分になって起こる弱視。

斜視弱視

斜視のために片方の目がいつも使われていない場合に起こる弱視。

不同視弱視

強い屈折異常(遠視、近視、乱視)のために片方の目がいつも使われていない場合に起こる弱視。

弱視が引き起こす他の症状

 片方の目に弱視があると、目の位置も影響を受けて斜視を合併することがあります。そのため、受診の際には度数だけでなく目の位置についても検査を行う事が大切です。それができるのが視能訓練士という特殊な国家資格を持った検査スタッフです。当クリニックでは視能訓練士が常時3名在籍しており、お子様の視力回復を丁寧にサポートします。

☆弱視の原因となる疾患や状況
先天性白内障、遠視、近視、乱視、斜視、眼帯使用など

弱視の治療法

 弱視の治療の基本は目を使うことです。大人になってからいくら目を使ってもあまり意味はなく、治療効果があるのは7~9歳頃までといわれています。治療開始の年齢が低ければ低いほど最終的に良好な結果が得られるので、早期発見と早期の治療介入が大切です。適切な眼鏡を適切な方法でかける事で治療を行います。せっかく眼鏡を処方しても使っていなければ効果も出ないので、意義を理解して毎日しっかりかけていただくことが大切です。片目だけの弱視の場合は、良い方の目をアイパッチ(眼帯)で覆い、悪い目だけを使うようにする方法が有効です。斜視や先天白内障による弱視の場合には原因となる疾患に対する手術が必要になることもあります。

弱視の早期発見のために

 特に小さなお子様は、目が見づらいことを周りの人に上手に伝えることが難しく、弱視の発見が遅れることが多くあります。「視線が合わない」「ものを目で追わない」「目つきが悪い」「まぶしがる」「涙が多い」「片目を隠すと泣く」など、目が見えていないような印象を受ける場合には、すぐに眼科にご相談ください。特に症状が無くても、小学校入学前までには一度眼科を受診し、目の状態を確認することをお勧めします。

斜視

斜視とは?

 斜視とは、何かを見ようとする際に、片目は目標物を向いているのにもう片目が違う方向を向いてしまっている状態です。症状としては、ものが二重に見えることがあります。

 

 程度の軽い斜視では、二重に見える等の自覚症状はありませんが、無理に見ようとしているために、目の疲れや頭痛に悩まされる場合があります。自他ともに気が付きにくい「隠れ斜視」を見つけ出すことも、専門家である視能訓練士の仕事です。視能訓練士が在籍する眼科医院で診察を受けることが大切です。

斜視が引き起こす日常生活での支障

 斜視の方はものが重なって見えることなどから疲れやすさを感じることが多く、車の運転にも問題が生じます。また、斜視による慢性頭痛で日常生活に不便を感じる方も多いです。QOL(生活の質)の低下を防ぐためには、しっかりと斜視を治療する必要があります。

斜視の治療法

 斜視の根本的な治療は、眼球を動かしている筋肉の働きを調整する手術です。手術をするほどではない軽度の斜視や、手術を希望されない場合には、光線を歪める働きを持つプリズムという特殊なレンズを入れた眼鏡や、点眼薬・ビタミン剤の飲み薬などを組み合わせて、目の疲れを和らげる治療を行います。

結膜炎(はやり目)

結膜炎の種類

 白目の表面とまぶたの内側を覆う粘膜の部分を結膜と呼びますが、この結膜に炎症が起こって腫れや充血が生じる状態を結膜炎といいます。 結膜炎は、大きく「ウイルス性結膜炎」「細菌性結膜炎」「アレルギー性結膜炎」の3つに分けられます。
 「はやり目」とも呼ばれるウイルス性結膜炎は、風邪と同じように周囲の人にうつることが多い病気です。ぶどう球菌などの細菌が原因で起こる細菌性の場合もうつることがありますが、花粉やハウスダスト、ペットの毛、コンタクトレンズなどによって起きるアレルギー性結膜炎は人にうつることはありません。

結膜炎が引き起こす他の症状

 結膜の炎症が周りに広がると、まぶたが腫れたり、さらに炎症が強いと顔がパンパンに腫れたりすることがあります。結膜で起きた炎症が黒目の部分である角膜に広がると、角膜の混濁を起こして見づらさやまぶしさ、視力低下を引き起こすこともあります。「ただの結膜炎だから」と軽視せずに、しっかりと治療を受けることが大切です。

結膜炎の治療法

 ウイルス性や細菌性の結膜炎の場合は、感染したウイルスや細菌に合った抗生物質、眼軟膏や消炎剤などの点眼薬を用いて治療を行います。アレルギー性結膜炎には症状に合わせて抗アレルギー剤やステロイド、免疫抑制剤などの点眼薬を処方します。適切な点眼治療を行うことで炎症の期間が短くなるというデータもあるので、処方された点眼薬は医師の指示通りにきちんと使用してください。

アデノウイルス結膜炎とは?

 結膜炎を起こすウイルスには多くの種類があり、ウイルスの種類によって症状や経過も異なりますが、その一つであるアデノウイルス結膜炎は炎症が非常に強いことが大きな特徴です。激しいかゆみや痛みを感じ、目やにが多く出ます。また、アデノウイルスは感染力がとても強いため、学校感染症に該当し、出席停止期間が定められています。基本的には通常の結膜炎と同じく点眼薬で治療しますが、炎症が強い場合には効き目の強い薬を使用することもあります。

☆ご家庭での感染予防の方法
・目を触らない
・使ったティッシュは小袋に入れて捨てる
・お風呂は最後に入る
・タオルは家族と共有しない

3歳児健康診査

3歳児健診の意義

 3歳児健康診査とは自治体が実施している集団健診で、診察や身体計測、尿検査、歯科健康診査と合わせて視聴覚検査が行われます。そこで視覚に関する何らかの指摘を受けた場合は眼科を受診し、より詳しい検査を行うことで、病気の早期発見と早期の治療開始へつなげることができます。

 

 3歳児健診で発見される視覚異常には、近視のほかに、遠視や弱視、斜視などが含まれます。視力検査に加え、左右の目の位置にずれが無いか、目の動きに異常が無いか等、視能訓練士がプロの目で、しっかりと検査いたします。当クリニックでは小児眼科に対応しており、視能訓練士が常時3名在籍しております。複雑な検査も受診当日に受けていただくことができます。優しい女性の視能訓練士も在籍しておりますので、小さなお子様も安心してご来院ください。

3歳児健診を受けることで得られるメリット

 昨今は、幼い頃からTV、スマートフォンやゲーム機などに接する機会が増えており、近くを見続ける生活をしているお子様が多いのが現状です。3歳でも近視があるお子様が珍しくなく、そのまま成長すると強度の近視になることが予想されます。近視は成長とともに進行するため、3歳児健診で症状が軽いうちに発見できれば、近視が進んできた際に適切なタイミングで予防治療を始めることができます。また、斜視や弱視は早期発見・早期治療が大切な疾患で、視力の発達する期間を過ぎて治療を始めても効果がほとんどないとされています。

 

 適切な治療タイミングを逃さないように、3歳児健診で指摘があった場合には、小児眼科外来を設けている視能訓練士が在籍する眼科を受診し、きちんと検査することがとても大切です。

先天性鼻涙管閉塞症

先天性鼻涙管閉塞症とは?

 涙の通り道には、胎児期には弁と呼ばれるふたがあります。通常は、生後すぐにその弁が破れて涙が通るようになります。しかし何らかの原因で弁が閉じたままになると、涙が溢れて目やにや涙目を繰り返すようになります。これを先天性鼻涙管閉塞症といいます。無治療でも1歳までに9割ほどのお子様が治るといわれているため、それまでは点眼薬で様子を見るのも一つの方法です。

 

 目やにが多く頻繁にかぶれを起こすケースや、1歳を過ぎても症状が改善しないケースには、人工的に弁を破って涙の通り道を開通させる治療を行った方が望ましい場合もあります。

先天性鼻涙管閉塞症が引き起こす他の症状

 涙の通り道がつまっていると涙が鼻へ流れず涙嚢に溜まり、そこで細菌が繁殖して目の周りやまつ毛に目やにが溜まりやすくなります。目が赤くなったり開けにくくなったりする場合が多いですが、さらに炎症が広がると、まぶたが腫れて痛みや発熱を起こす「涙嚢炎」などの感染症に繋がる可能性があります。さらに、目は脳とも繋がっているために、脳の表面にまで細菌が回ると「髄膜炎」を発症することもあります。髄膜炎は生命に関わる非常に危険な合併症ですので、ここまで炎症が広がる前にしっかりと治療することが大切です。

先天性鼻涙管閉塞症の治療法

 地道に涙嚢部をマッサージすることで自然治癒するケースも多いですが、それでも治らない先天性鼻涙管閉塞症には、涙の通り道にブジーと呼ばれる細い針金のような道具を通すことによって、詰まっていた道を開通させる処置が効果的です。処置の際にはどうしても痛みを伴いますが、数分で終わる簡単な処置です。一旦道が通ってしまえば目やにや膿などのつらい症状はピタリと止まります。

先天色覚異常

先天色覚異常とは?

 先天色覚異常とは、遺伝子の変異によって生じる、色の見え方の変化です。日本人男性には20人に1人、日本人女性には500人に1人の割合で存在すると言われており、稀な疾患ではありません。当クリニックでは視能訓練士が常時勤務していますので、いつ来院されても、その場で色覚検査を行い、その日のうちに検査結果をお伝えする事ができます。また、色覚異常と診断された場合には、日常生活での注意点や今後の生活の留意点についても、当クリニックオリジナルの説明用紙を用いてわかりやすくお話しさせていただきます。お子様の色の訴えがなんとなく違う、何度言っても色を間違えてしまうなど気になる症状があるときは、いつでも御相談ください。

まずはお気軽にご相談ください

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