ドライアイ
ドライアイとコンタクトレンズの関係
ドライアイとコンタクトレンズには密接な関係があり、コンタクトをしている方はほぼ100%ドライアイになると考えられるほど大きな影響を与えます。目の中では「ムチン」という物質が涙と角膜表面のつなぎ役となり角膜表面の乾燥を防いでいますが、コンタクトレンズをすることによってムチンが覆い隠されてしまい、涙を目の表面に保持できなくなります。
ドライアイになると、目の表面に傷が付きやすくなり、痛みや違和感を生じるほか、場合によっては視力低下にも繋がります。また、目の疲れの原因にドライアイが隠れている場合もあります。適切なタイミングで点眼薬を使用し、目の潤いを保つことが大切です。
ドライアイになる原因
近年ではパソコンやスマートフォンの長時間使用によりドライアイを引き起こす方が増えています。しかし、仕事でパソコンを使用するような方は、使用時間を削減する事は難しいでしょう。そのような場合には、症状に合った目薬を適切なタイミングで使用するとともに、できるだけ休憩を入れることを心がけていただくようアドバイスしています。また環境要因として、エアコンで目が乾く方も多いです。室内の加湿も効果的です。
ドライアイの治療法1:温罨法(おんあんぽう)
「涙の中の油分を増やす」というイメージの治療法です。涙はドレッシングのように表面を油でコーティングしており、その油によって蒸発を防いでいます。ドライアイの方は油の量が減っているため、温めることで油を溶かし、目の表面へ流れる油の量を増やす方法が温罨法です。
油の量を増やして涙の蒸発を防ぐ事と同時に、目の休憩にもなるため、ドライアイの治療として効果的です。蒸しタオルなどを使って目の周りを3分ほど温めるだけの手軽な方法でドライアイの改善が期待できます。特に仕事で長時間パソコンを使われる方は、1~2分でもかなり効果が期待できます。休憩時間に取り入れてみてはいかがでしょうか。
ドライアイの治療法2:アイシャンプー
年齢と共に油の出口は詰まることが多くなり、出口が塞がれるとそこで感染を起こしてより通りが悪くなってしまいます。アイシャンプーは、油の出口の部分を洗浄して、清潔な状態に保つことによって油の量を増やし、ドライアイを改善します。朝晩2回、顔を洗う時に軽く目を閉じてまつ毛の根本の部分を洗うだけという、1~2分で終わる負担の少ない方法です。当クリニックでも販売しております。ご興味がある方は受付へお申し出ください。
ドライアイの治療法3:涙点プラグ
左右の目頭には涙の排水溝(涙点)があります。涙の分泌量が少ない方、涙が蒸発しやすい方には、この排水溝に蓋をして、涙を貯める治療を行う事があります。この蓋を涙点プラグと呼び、挿入する処置は外来で1~2分程度で行えます。副作用としては、蓋をしたことで涙が多くなり過ぎて逆になみだ目を引き起こすこともまれにありますが、そのような場合にはプラグを外せばすぐに元に戻るので安心です。
なみだ目
なみだ目の原因となるさかまつげ
眼瞼内反症は「さかまつげ」「さかさまつげ」とも呼ばれ、なみだ目の原因として比較的多いものです。加齢などが原因で目の周りの皮膚や筋肉が緩むことにより、まぶたの向きが変わり、まつ毛の先が目の表面に当たってしまう病気です。まつ毛が接触することにより、目の表面に傷がついたり、反射的に涙が出てなみだ目に繋がったりします。まつ毛が当たらないように、まぶたの向きを外側へ向ける手術が根本的な治療となります。
手術はまぶたの皮膚を切って縫い縮める処置により、まぶたの方向を変えてまつ毛が刺さらないようにするというもので、10~20分で終了します。手術に抵抗がある方は、当たっているまつ毛を抜く治療も可能ですが、同じ場所にまつ毛が生えると症状も再燃するため、何回も繰り返し通院し、頻繁に処置を受けていただく必要があります。手術も後戻りする可能性がありますが、5~10年ほどは効果が期待でき、もし再発した場合には再度手術をすることも可能です。
なみだ目の原因となるドライアイ
ドライアイの場合にも、目の乾きを補おうとして多量の涙が出る、あるいは涙が少ないせいで目の表面が過敏になり、刺激に対して過剰に反応して涙が出やすくなる事があります。治療法はドライアイを治すことです。ドライアイ用の点眼のほか、温罨法やアイシャンプー、涙点プラグを使った手術などを組み合わせて治療を行います。
なみだ目の原因となる結膜弛緩症
結膜弛緩症とは、結膜(白目)の部分に加齢などのためにたるみが生じる病気です。たるんだ部分が下まぶたに覆いかぶさり、目の表面にある涙の通り道を塞いでしまうことで、目の表面が傷ついて違和感が生じたり、涙が溢れてなみだ目の症状が出てきたりします。根本的な治療はたるみを取り除く手術で、10~15分程度の簡単な手術で症状が落ち着きます。手術に抵抗がある方にはまずは点眼薬での治療を行い、しばらく様子を見て効果が出ないようなら手術をおすすめしています。
眼精疲労(疲れ目)
眼精疲労とは?
目に強い負担がかかり、休息しても疲れが取れない状態が眼精疲労です。もっとも特徴的な症状はもちろん目が疲れるということですが、そこから頭痛や肩こりを引き起こし、場合によっては吐き気を覚えるような強い症状が出ることもあります。
最大の原因は見えにくさです。遠視や乱視、近視がある状態で無理やり見ようとしていると、どうしても目が疲れて眼精疲労を起こします。自分では見えにくさを自覚していなくても、目が疲れていることが多いです。例えば、度数の合っていない眼鏡や量販店で販売している度入りのカラーコンタクトレンズの使用は眼精疲労の大きな原因となります。その他、片目が外を向いている外斜視や、白内障などの見えにくい状態で生活されている方も眼精疲労に悩む方は多いです。それ以外に、ドライアイや眼瞼けいれん、眼瞼下垂など、眼精疲労の原因は多岐にわたります。
眼精疲労の治療法
疲れ目に対しては、当クリニックでは点眼薬を何種類か取り揃えてあり、いろいろ試していただいた上で患者様一人ひとりに合うものを処方しています。また、ドライアイや眼瞼けいれんなど、眼精疲労を引き起こす明確な原因がわかる方には、その原因になっている病気を治療することで眼精疲労の症状も軽減していくことが多くなります。当クリニックでは視能訓練士が常駐しているため、検査の中で、眼精疲労の背景に潜む屈折異常や斜視なども見逃さずに指摘し、的確な治療アプローチへと結びつけることができます。
老眼
老眼とは?
老眼とは、「手元が見えにくくなること」というイメージが強いと思いますが、その実態は、「ピントを合わせる能力の低下」です。早い人では40歳頃から自覚症状が出る事があり、加齢と共にどんどん進行します。ただ、見えにくくなって「老眼かな?」と思っても、別の病気が隠れている事が少なくありません。老眼を自覚する40代頃から緑内障など他の眼科疾患の発症率も上昇します。「見えづらい」「ぼやけて見える」などの症状があれば、一度は必ず眼科を受診しましょう。老眼に対して最も簡便な対処法は老眼鏡の使用です。しかし、老眼は徐々に進行するため、何度も眼鏡の調整が必要になります。
点眼薬を用いた治療もありますが、これはピント合わせを手助けする補助的な効果に止まり、根本的な治療にはなりません。根本的な治療としては、白内障手術で多焦点眼内レンズを挿入する治療があります。現在では多焦点眼内レンズも遠近両用の二焦点レンズのほか遠中近の三焦点レンズもあり、当クリニックでも施術可能です。また、既に白内障手術を受けられた方には、もう一枚遠近両用多焦点眼内レンズを入れて、老眼を治療する方法もあります。多焦点眼内レンズは保険外診療になり高価ではありますが、術後の見え方は自然で、満足いただいております。興味のある方は医師へお尋ねください。